乳がんについて
乳がんは、乳房のなかの母乳をつくる小葉細胞や母乳を乳首まで運ぶ乳管細胞から発生する悪性腫瘍です。
乳がんにかかる方は年々増えつづけ、現在は日本人女性の9人に1人が乳がんになるといわれています。40~60歳代で発症のピークがあるのが特徴であり、働く世代・子育て世代に多く患者様がみられます。早期発見・早期に適切な治療を受けることができれば予後は良く、早期のステージIやIIの10年相対生存率は90%を超えます。
乳がんは症状を伴うことは少なく、発見が遅れることがあります。早期発見を目指し、症状がなくても定期的に検査を受けることが重要です。乳房の痛みは生理的なもので心配いらないものが多いですが、乳房に不安のある方はお気軽にご相談ください。
乳がんになると下記の症状があらわれます
- 乳房のしこり、隆起(新たにできたもの)がある
- 乳房の陥凹(新たにできた「えくぼ」)がある
- 乳頭に湿疹やただれがおきる
- 乳汁分泌、血性乳汁(血が混じった分泌物)が出る
- 腕をあげると乳房の皮膚にへこみができる
- 脇の下(リンパ節)に硬いしこりがある
- (男性の場合)胸の異常発達がある
診断・検査について
1.視診、触診
医師が目で視て乳房にくぼみがないか、手でふれてしこりがないかなど観察します。触診では、“しこり”の有無をチェックします。しこりが認められた場合、すべて乳がんというわけではありませんが、必要があれば精密検査を行います。人間の感覚ではしこりが1cm以上でないと認識できないとも言われています。1cm以下の小さい病変や、1cm以上であっても深いところにある“しこり”は、触診だけでは確認できないことが多いです。そのため、“しこり”を触れる人も、触れない人も、画像検査をお勧めします。画像検査にはマンモグラフィや乳腺超音波検査(エコー検査)があります。
2.マンモグラフィーによる検査
乳房を圧迫して撮影するX線装置です。痛みを感じられる方もおられますが、女性放射線技師が優しくお声がけをしながら撮影いたしますので、安心して受けてください。
しこりを作らない早期乳がんに伴う石灰化病変や、脂肪の多い乳房のしこりの発見に役立ちます。放射線量はごく微量であり人体への被ばくの影響はほとんど心配ありませんが、妊娠中の方は被ばくのない超音波検査を行います。
※豊胸手術後、ペースメーカー・ポート・埋め込み型心電計・V-Pシャント術後など、胸に留置物がある方は撮影できない場合があります。
※制汗剤のご使用は検査に影響を及ぼすことがありますので、お控えください。
3.乳腺超音波検査
超音波診断装置を用いてゼリーを乳房に塗り、その上から乳腺専用のプローブを軽く押さえ滑らせながら、医師の触診や自己触診では発見できないしこり(腫瘤)などの異常がないかを探します。妊婦さんがお腹の赤ちゃんをみるときに使う検査と同じで、被爆もなく、痛みも伴いません。病変が見つかった場合は、その病変が何なのか(悪性なのか良性なのか、など)、画像上の影や形からある程度の予測ができます。
良性や悪性が判断できないもの、少しでも悪性を疑うものに関しては、精密検査が必要となります。その場合は、“穿刺吸引細胞診”もしくは“細胞診・針生検”を引き続き行います。
4.細胞診
超音波でしこり(腫瘤)を描出し、細い注射針(採血で使う針と同じ太さ)を刺して細胞を吸引して調べます。また、乳頭分泌がある場合、分泌物を採取して調べる方法もあります。
細胞診は、良いものか(良性)、悪いものか(悪性)を判定するための検査です。検査時間は5~10分程度です。