中医学について
中国伝統医学
日本では一般的に「東洋医学」と言われることも多いですが、これは東洋起源の伝統医学のことを指し、中国医学(中国)、漢方医学(日本)、韓医学(朝鮮半島)など東アジアの伝統医学を全てを指しています。これらの医学はいずれも起源は中国で、中国から伝わった後、その土地の風土や気候に合わせて独自に発展を遂げていきました。
基となった中国医学は有史以前より当時の為政者(皇帝)により守られ、時代の医学者たちによって深められながら、長い年月をかけ体系が整えられた歴史ある医学です。
2,000年以上前の前漢の時代に書かれた、基礎理論から技術・実践までがまとめられた中国最古の医学書である『黄帝内経』には未病や陰陽五行説、腎の考え方など、現代の中医学でも活用されています。それまでの生薬の経験を集大成した『神農本草経』には、薬物365種類が掲載され、現代につながる基本理論が定められており、中薬学の基礎を築いたものとなっています。さらに、『傷寒雑病論(傷寒論・金匱要略)』がまとめられ、生薬を組み合わせた漢方薬の基礎が成立しました。
これら3つの書が中国医学と中薬学と漢方薬の原典とされており、現代まで研鑽され、体系が整えられ、現代の「中医学」に繋がっています。
未病先防
病気になる前に、予防することが一番とされる医学です。 古代中国では、医者のことを“工”といい、優れた医者を“上工”と呼びました。現存する中国最古の生薬の専門書である『黄帝内経』にはこのような記述があります。
・優れた医者(上工)は病気が発症する前に予防し、未病のうちに治す。
・普通の医者(中工)は病気が発症してから手を打つ。
・下手な医者(下工)は病気が進行し てしてから取り組む。
つまり中医学では天人合一という観念の元、季節、気候の変化や感情のあり方で、 身体にどのような変化が起きやすいかを察知し、発症する前の予防を第一としています。
*天人合一・・・人間は自然界の影響を受けて生活しているのであって、人体と自然界を分けて考える ことはできない。大自然を宇宙とすれば、人体は小宇宙であり、自然界で起こる様々な現象は、人体にも同じく現れるとする観念を言います。 よって、自然界の変化と疾病を関連づけて考える傾向が大きいです。
当院の治療方針
当院ではあらゆる症状に対応するため多くの漢方薬を取り揃えております。痛くない(針のない)耳針なども取り入れることもあります。
たとえば、冷え症、のぼせ、ふらつき、しびれ、食欲不振などの日常生活に支障をきたしている症状で、それらの多くは西洋医学的には対応しにくい症状であり、「検査には異常ありませんので、経過を見ましょう」など言われることが多いかもしれません。そのような症状をお持ちの方、患者様の置かれている病態に基づいて、処方を決定していきます。西洋医学的に治療法がないとされた患者様にも、有効な治療を行えることが、しばしばあるかと思いますのでご相談ください。