プレコンセプションケア
プレコンセプションケアについて
プレコンセプションケアとは、女性やカップルに将来の妊娠のために健康管理をうながす取組みのことで、当院でも重要な取り組みと考えております。病院での検査・診察だけではなく、食生活、生活習慣の指導等を含めた管理や、思春期からの男女のこころとからだのケア、性教育を含めた若い世代の健康増進管理から、いつか子供を望んだ時に、健やかな妊娠・出産ができることにつながるだけではなく、心と体が大きく変化していく40代以降を、健やかで充実したものにすることにもつながる取り組みです。
妊娠した時点から生まれて2年くらいまでの短期間の低栄養により、生活習慣病の素因が作られ、その素因を持って生まれた子どもが大人になって過剰な栄養、ストレス、運動不足などの影響で生活習慣病を発症するというDOHaD(Developmental Origins Health and Disease)の考え方もあります。
やせも肥満も排卵障害による不妊の原因となり、妊娠後も痩せでは早産、貧血、低出生体重児などのリスク、肥満では妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開手術、巨大児などのリスクがあります。将来生まれてくる子どもの健康を考慮し、妊娠前の女性の栄養や生活スタイルを改善することで、健全な次世代を育成することが重要です。
ライフスタイルの評価と改善
食事
炭水化物、脂質の摂り過ぎは肥満の原因になります。揚げ物、マーガリン、甘い物は控え目にし、卵子の質を高めるオメガ系3脂肪酸(青魚など)、いわゆる日本食中心の食事を心掛けましょう。
運動
血流を良くすることで、冷え性の改善にもなります。特に下半身には約6割の筋肉があるといわれ、ウォーキングやスクワットがお勧めです。1日の中で習慣化することをお勧めします。エレベーターは使用せずに階段を使用するなど、日頃から適切な運動を心掛けましょう。
リラックス
忙しい現代人はストレスを溜めがちですが、ストレスは妊活だけでなく体に様々な悪影響を与えます。適度な運動は気分がリフレッシュされます。また、目を閉じて深く静かに無心になって、自分の呼吸に意識を向ける瞑想もお勧めです。
飲酒
節度ある適度な飲酒量を心掛けましょう。「節度ある適度な飲酒」としては、1日平均純アルコールで約20g程度です。
喫煙
タバコにはニコチン、一酸化窒素、シアン化合物などが含まれており、胎児毒性、血管収縮作用があります。妊娠中の喫煙によって、赤ちゃんの発育の遅れ、流産、前置胎盤、胎盤早期剥離などのリスクが増加するといわれています。喫煙は控えましょう。
基礎体温
体温を変動させる要因が最も少ない起床時に、舌下に体温計を入れて計測します。通常は卵胞機に低温相、排卵があれば高温相に移行し2相性パターンを示します。高温相を形成するのは、排卵後に黄体から分泌されるプロゲステロンが視床下部の体温中枢に作用して体温を0.3~0.5℃上昇させるためであり、この温度差が0.3℃以内または高温相が10日以内の場合には卵巣機能不全症を疑います。基礎体温は気軽にグラフ化でき、自分の体調を知ることができます。妊娠を考えていらっしゃる方にお勧めします。
サプリメント
葉酸
胎児の神経管閉鎖障害の予防効果が期待されます。すべての妊娠予定の女性に1日400μgの葉酸サプリメントを妊娠前から摂取することが推奨されています。
ビタミンD
骨形成だけでなく様々な細胞の免疫を調節し、不妊症、不育症、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、低出生体重などの合併症と関連が指摘されています。
ヘモグロビン、フェリチン
貧血で疲れやすい方に効果が期待されます。冷え、頭痛、産後うつにも関連があります。
亜鉛
免疫、神経、成長、骨格、内分泌、生殖機能に関わり、葉酸の代謝吸収にも必要なミネラルです。
また、亜鉛はセックスミネラルともいわれ、男性ホルモンや精子の合成促進、運動率を上昇させます。